「簡単なことじゃないって分かってるし、今すぐ返事をしてなんて言わない」


「………」


「再婚できるまでのあいだ、優菜さんが判断して。俺が夫として、父親として、この先一緒にやっていけるかどうか」



優菜さんは俺から視線を外し、下唇をキュッとかみ締めてうつむく。


その隣で俺は、優菜さんの膝に置かれた彼女の手をキュッと握りしめる。

そして、大きく呼吸をすると、彼女の横顔を見つめて言った。



「……俺は、優菜さんと結婚したい」



握りしめた優菜さんの手が、ピクリと動いた。


昔の俺は、優菜さんとこうなることを想像すらしていなかった。


いつも頭に思い描いていたのは、優菜さんを懸命に忘れようとしている自分。

そして、いつの日か優菜さんを忘れて、ちがう誰かと寄り添う未来。