――その日は、講義が遅くまである水曜日で、バイトが休みだった。 「……最悪だ」 無駄に広い、大学の講義室。 俺は机に頭を突っ伏して脱力していた。 「なにが最悪ってー?」 俺の独り言をしっかりと聞いていたのは、中学からの腐れ縁でもある弘美だった。 「別に何でもねぇよ」 「なによー、教えてよ!」 男勝りな性格の弘美とは、何かとウマが合う。 俺は弘美に対して異性を感じたことがないし、それは弘美も同じだった。