†Orion†



早く誰か持って行けよ。

さっきからコール鳴らして呼んでいるだろ?


熱いものは熱いうちに。

冷たいものは冷たいうちに。


そんな鉄則、すっかり忘れられている。



すっかり冷め切ったスープを捨て、新しく作り直す。

コールを鳴らしても、誰も取りに来る気配がない。



次のオーダー分を作りながら、ふと見ると、優菜さんの姿が見えた。

オーダーを取り終えて、食事に必要なシルバーを準備している。



「……杉浦さん!」



彼女の名前を口にした瞬間。

ほんの一瞬だけ、時間が止まったような気がした。