「……食べる?」 「はっ、はいっ?」 おいしそうな色とりどりの弁当。 俺、そんなに物欲しそうな顔をしていたのか? 杉浦さんは弁当箱のフタに、卵焼きを二切れのせて差し出した。 「いえ、いいです。メシ、ありますから」 断っておきながらも、俺の視線はきれいに巻かれた黄金色の卵焼きに釘付け。 「いいからいいから」 フフッと笑う杉浦さんに、完敗。 俺は小さな声で「ありがとうございます」と言って、卵焼きを一口食べた。