苛立ちながらも、辿り着く結論は、ただひとつ―― すべては、気持ちを抑制できなかった俺の不甲斐なさだ。 世間体がある、自覚を必要とする。 努力してはいけない恋愛さえも、存在する。 “好き”という純粋な気持ちだけじゃ、避けては通れない道があるんだ。 ――ガタンッ…… 「――雅人?」 横断歩道の信号が青に変わる。 優菜さんが、ゆっくりと歩き始める。 「悪い、また今度、ゆっくり付き合うから」 せっかく弘美が、気を遣ってくれたのに。