†Orion†



「そう。“主婦”はすごく忙しいの。“学生”とは違うから」


「……優菜さん……?」



にこにこ笑いながらもトゲのあることを言う優菜さんに、弘美は困惑していた。



「弘美、禁煙席でいいだろ? 俺、のど渇いたから早く行こう」


「ちょ……っ、雅人……?」


「じゃあね、弘美ちゃん。お疲れさま」



弘美の手を強引に引っ張り、俺は禁煙席の窓側へとズンズン歩いて行った。

いつも人気のある窓側の席。

運よくひとつだけ開いていたテーブルに着く。



「何なの、いまの……。あんたたち変だよ?」



イスに腰を下ろした弘美は、目を左右に泳がせながら訊いてくる。