†Orion†



「……あっ」



店に入ってすぐ目に付いたレジ。

その前を私服姿で通りかかった優菜さんと、バッタリ出くわした。



「お疲れさまですー。優菜さん、もう帰るの?」



俺をその場に置き去りにして、弘美は優菜さんのもとに駆け寄る。



「うん、今日はちゃんと定時で上がれたよ」



にこりと笑う優菜さんは、弘美の後ろにいる俺をちらりと見た。

久しぶりに会う優菜さんが、たまらなく愛しく思える。


男のくせに……

胸がじわじわとしめつけられて、涙がこぼれてしまいそうになる。



――なにやってんだ、俺。

こんな女々しいヤツじゃなかっただろ?