いつもなら、そんなことは面倒で、「一人で行けよ」と毒づくところだけど。
さすがに今の状況だと、一人でいたくなかった。
一人でいると、気が狂いそうなほどに、優菜さんを求めてしまいそうだから。
「……どこ行くつもりだよ」
大学を出て、向かっている先。
明確な場所を言わない弘美に、俺は胸騒ぎを覚える。
いま歩いているこの道のりが、慣れ親しんだものだったから。
「あたしはさぁ、飲み放題のドリンクバーがあるところがいいんだよね。雅人は?」
「……そりゃ、金のこと考えればドリンクバーだろ」
「でしょー?」
あぁ、そういうことか。
こいつ、本当にバカだよな。


