「他のヤツじゃダメなんです。俺は……」 誰かを好きになることは自由。 でもそれは、やるせない気持ちに押しつぶされてしまうこともある。 この心地よい関係が、崩れたっていい。 気持ちを抑えれば抑えるほど、苦しくなる。 受け止めてもらえないのは分かっている。 既婚者という、頑丈で大きな壁が、決して崩れないことも分かっている。 それでも、必死に抑えてきた気持ちが、堰を切ったようにあふれ出した。 「優菜さんを好きなんです――」