「おはようございまーす」 裏口のドアがキイッと音を立てて開き、優菜さんが出勤してきた。 タイミングがいいのか悪いのか。 そのときの俺は、大型冷凍庫から食材を抱えて出てきたばかり。 優菜さんとバッタリと出くわしてしまった。 緊張のあまり、目を合わせることすらできなくて。 「……おはようございます」 俺は、ゆっくり顔を見て挨拶できないくらい忙しいんだ、と言わんばかりに、早口に挨拶を返すと、その場から急いで離れた。 「……雅人くん」 厨房に戻ろうとする俺を、優菜さんが呼び止める。