「正式に社員になったら、パートさんと社員という立場を忘れるな」 「……え……っ?」 “パートさん” そこを“バイト”と言わず、敢えて“パートさん”とはっきり言った料理長の言葉に、心臓がドクンと鳴った。 「今はまだバイトだからいいけど、社員になったら私情を持ち込むなよ」 「料理長……?」 「さっ、できた。推薦書を提出したあとは、面談が待ってるぞ。正当な志望動機をじっくり用意しとけよ」 料理長が出て行ったあと、俺は身動きひとつできず、その場にしばらく突っ立っていた。