完全週休二日、大卒に見合った給与。 これが最低限の条件だったのに。 優菜さんを思う気持ちは最強だ。 ただそばにいたい。 それだけで、これまで俺が譲らなかった条件は簡単に崩れ落ちる。 「おまえも分かっていると思うけど、体力勝負だぞ、この仕事は」 本社あてに推薦書取り寄せのメールをパソコンで作成しながら、料理長はまじめな顔つきで言う。 「それから――……」 キーボードを叩く手を休め、料理長は俺の方に身体を向けて言った。