†Orion†



きっとそれは、時には苦しく思えてしまうかもしれない。

後悔してしまうかもしれない。



でも――……




優菜さんと会える土曜日の前日、金曜日。

俺はいつもより早く出勤して、料理長を休憩室に呼んだ。



そして――……

俺は、将来の道を料理長に委ねたんだ。



「この店で、正社員としてやっていきたいんです」



俺が切り出すと、料理長はひどく嬉しそうな顔をした。


この仕事が好きで正社員を選んだわけじゃないのに。

ただ、優菜さんのそばにいたくて選んだだけなのに。


推薦書を書くと張り切った様子の料理長に、罪悪感でいっぱいだった。