「俺を好きなのはいいけどさ、おまえ……」 ――……は? ちょっと待て。 いま、こいつ、何て言った? 「弘美? おまえ今……」 空耳だったのか? うん、そうに違いない。 そう思って確かめるようにして問い返す。 「いいかげん気づけよ。あたしはね、あんたのことがずっと好きだったの」 はっきり、“好き”と言った弘美に、俺は言葉をうしなう。