遠くで2人の会話を聞きながら。 そして。 でも。 私は思ったよりも 驚きもしませんでした。 なぜなら冷静に考えても 私が彼について 知っていることは ただ電車の中での 彼であって そのほかの彼については なにひとつ 知っていなかったからです。 毎朝同じ車両の電車に 乗って 同じ本を 読んでみたり。 私の知っている彼は たったそれだけだったのです。 彼の24時間の内の 1時間もないのです。