「木原、ちゃんと手当してもらえよ。」 コートを囲むフェンスを抜けるとき、監督が俺にそう言ったのが聞こえた。だけど、もうどうでもいい。 監督の声をシカトして歩き出す。 「寿也君!手当てするから、そこに座って?」 「うっせーな、ほっとけよ!!」 1つ上のマネが俺の手を引いて促してくるけど、今の俺にとってはウザいとしか感じられない。ってか痛いから離せ。 掴まれていた手を思いっきり振り払った。