俺を見る奴らは、俺を一人の人間として見てるワケじゃねぇ。 “父は社長”“母は副社長”“渡部の一人息子”とか、俺の家柄ばかり見てるんだ。所詮家柄はブランド、俺はその付属品にしかすぎない。 俺の家から学校への寄付金がでかいからか先生たちだって俺を特別扱いするし、近寄ってくるクラスメートも金が目当てな奴ばかり。 こんな環境の中、他人なんて信じられっかよ? ただ俺を俺として見てほしかった。 普通に扱ってほしかった。 俺を、認めてほしかった。