ドキドキと高鳴る鼓動を感じつつ、戸惑う気持ちを整理しようと頭をひねると、もっと大事なことを忘れていたことに、今更ながら気がついた。
「あ…。名前、聞いてねー…。」
一目惚れしててもしてなくても、名前知らなきゃどうしようもないっつーの。ましてやどこの学校の生徒かもわかんねぇのに。また会える保証だってねぇのに。バカだろ、俺。
自分に呆れ、はぁっと大きなため息をついていると、背後で足音が止まった。
誰がきたのか不審に思い、ゆっくり後ろに振り向くと、野本先輩が不思議そうな顔をして俺を見下ろしながら立っているのが見えた。

