今朝も何時ものように、深夜までやっているラーメン屋を曲がり路地に入る。
そこから無人の旧家の裏に回り、排便用の小さな空き地にやってきた。

ここだけは普段から全く手入れされていない為、年中雑草が覆い茂り、便をそのまま置いてくるには絶好の場所である。

ナチも心得たもので、そこに来ると自分から茂みに入って行った。

「おはようございます」

早朝に響く妙に元気な声で驚いて振り返ると、真っ赤な顔をした新聞配達の少女が吾郎に頭を下げている。

何時もより時間が早いせいで普段は会わない人に会ってしまったのだ。

内心舌打ちしながらも吾郎は曖昧に笑みを返した。

「可愛いワンちゃんですねえ、名前何て言うんですか?」

(早くあっち行けよ、ナチの排便見られちまったら、後片付けしなくちゃいけないじゃないか)