「どんな意味」

「それは自分で見つけなきゃ。それだけでも生きていく理由にならないですか?」

年下の利那を相手にしても、何時も丁寧な言葉で真剣に答えてくれる拓海に利那はどんどん魅かれていった。

ただ好きだと言う勇気は無い。もう傷つくのは絶対に嫌だったしこのままの関係がいいと思った。

そんな時、拓海がお見合いをしたという噂が学校に広まった。

噂好きの同僚事務員、冴子の話では相手は隣町の高校で校長をしている人の娘らしい。

それを聞いて拓海の母親もたしか教師だった事を思い出した。

「北條先生、お見合いしたんですって?」

ある日利那は思い切って聞いてみる事にした。

勤めて明るく冗談めかした言い方で気持ちも消しながら……である。

「誰にも言ってないのに学校中の噂ですからね、困っちゃいましたよ」