だんだんと視界がぼやけてきた。かわりに自分を心配そうに見つめる幾人もの瞳が見えてくる。

(隼人が私を車に向かって突き飛ばした……私を殺そうとした?)

そこで夢は終わった。

「目がさめたようですね。北条さん大丈夫ですか?」

白衣姿の見知らぬ男が晶の顔を覗き込んでいた。

「もう大丈夫ですよ。骨にも脳波にも異常はありません。脳震盪を起こしただけですから2,3日で退院できますよ」

遠くで貴子が医師らしき人物にお礼を言うのが聞こえた。

「お、お母さん……」

喉が渇いたのか声がかすれて上手く話せない。
貴子の方を向こうと首をひねった晶の目の前に隼人が顔を近づけた。