正確に早希のうなじに進入した直径1センチたらずの鉛は、中枢神経と声帯をこなごなに破壊し喉を突き破って地面にめり込んだ。

それでも2歩ほど早希は進んだ。

そして手首だけになった左手を何かを求めるように前に突き出し、そして動かなくなった。

早希が最後に見た物は角の向こうに待っている大勢の友人や家族だったのか……

その顔は少し微笑んでいるように見えた。