利那の我慢は限界であった。

世の中にはもっともっと苦しい思いをしている人だって沢山いるだろう。

夫の暴力、浮気、経済苦……

しかし他の人が耐えているから自分も我慢しなければいけないという理屈はない。
事実、利那は自分なりに今日まで頑張ってきたのである。

利那に遅れる事30分で帰宅した拓海に対し、最初は平静を装った。

しかし何処に行ったという問いを曖昧な返事で返す拓海、についに爆発してしまったのだ。

行き先を知っていた利那、に拓海も驚いたようだったが、あとをつけた事を非難するでもなく、弁明もしない態度が利那の怒りをエスカレートさせてしまう。

「どうして何にも言わないのよ、俺の勝手だって怒ればいいじゃない!」