「……………シンタロウ…総帥?」


後ろから聞こえた声に振り向くと、女が目をまんまるく見開いてそこに立っていた。

長い髪が風になびく…

一目見て、その人だとわかった。


シンタロウは、こいこいと手招きをした。

ゆっくりと近づく足音…

その姿をずっと見つめて…

自分の前に立つ彼女から、かすかに緊張した空気が流れてくる。


熱があるわけじゃない。

なのに、自分の頬が熱くなっていくのがはっきりとわかった。


風が熱くなった体を撫でて、冷やしてくれる…


シンタロウが笑顔を見せると、女は不思議そうに笑った。