「・・・優衣!?大丈夫!?今開けるからね!!!!」

厚い鉄の扉を、強く敲く。

「・・・利世・・・・・・・。雪・・・・夫さん・・・・。」

鍵を一生懸命開けようとしている中、優衣が小さな声で言った。

「・・・雪夫さんって・・・!?開いた!!!!!!」

厚い扉を、精一杯力の限り開けた。

「優衣!」

優衣は、地面に倒れこみぐったりしていた。

救急車を呼ぼうと、携帯を見ると圏外になっている。

歩いて行くしかなかった。

「優衣、雪夫さんがどうしたの?ここに居るの?」

「・・・うん。」

数秒後、弱々しい声が返ってきた。

「奥の・・・黒い扉の中に・・・・・・・・。」

優衣が指差した方は、暗くてよく見えなかった。

とりあえず、行こうとしたら

「待って。・・・意味無い・・・から。とりあえず、ここから出して。」

優衣は、自分の足で立ち上がり扉の方へ歩き出した。

私は、優衣が言った意味が判らなかった。

意味が無い?

雪夫さんも一緒に閉じ込められてたんでしょう?

そのとき、フッと川瀬の言葉が思い浮かんだ。



『でも、もう1人の方は・・・・・・。』


それって、雪夫さんのこと・・・?

雪夫さんは、元気じゃない・・・?


『・・・意味無い・・・から。』

優衣の言葉が思い浮かぶ。






「何で?」





信じたくない。