私と太郎が座ると智弘さんが
話をしだした。

「香澄ちゃん。
実は良子さんの
ご両親が香澄ちゃんを
引き取りたいと言ってきた。」

「やはり私たちが
育てる義務もありますし、
こちらはやはり・・・。」

祖母が口ごもった。

「いきなり私たちが、
現われてすまない。
良子が出て行ってから
死んだと思っていた。

しかし会いたいと思って調べると
良子は亡くなっていて、
孫がここでお世話に
なっていることを知った。

しかも明子ちゃんが
引き取っていたから嬉しかった。」

「私も明子ちゃんは知っているよ。

けどね、香澄ちゃん。
おばあちゃんは
一刻も早くこの家から私たちの家に
来て欲しいの。」

大人の言っていることが分かるような
分からないような感じだった。