「わぁ……おいしそう……」 「……梓ちゃん。すっげー棒読みなんだけど」 あぁ。 どうしよう。 どうしようどうしようどうしよう……。 大好きな唐揚を前にしても、あたしの頭のなかはエッチのことでいっぱいだ。 「ねぇ、武人」 「うん?」 箸に唐揚を突き刺し、あたしの口元へと持ってくる武人に問いかける。 「やっぱり、初めての時って、痛い……よね?」 「え……」 武人の右手から、唐揚の刺さった箸がぽろりと落ちる。