そんな些細な仕草を見るだけで、あたしの心臓はトクトクと波打ち始める。 ……落ち着け、あたし。 今はドキドキしている場合じゃないでしょ。 「と、とにかくさ。なんで会っていたの?」 コホン、と咳払いしたあとに詰め寄ると、武人は横目であたしを見ながら言い返す。 「おまえは何でここに来たんだよ。何か話があったんじゃないのか?」 「あ……」 そうだった。 悦子さんと一緒だった理由も気になるけれど、まずはあたしがここに来た理由を話さなきゃいけない。