「好きなら好きって……」

「――いいんです」

「えっ……?」



オレンジ色に染まった紙ナフキンをくしゃくしゃに丸め、信一くんは言う。



「麗さんにはその人とうまくいってほしいから。俺はそれでいいんです」

「……本当にそれでいいの?」

「――はい。麗さんは、その人のこと本当に好きだから」



いつもはあたしに対して生意気な態度を取るのに。

無理して笑う信一くんを見ていると、胸が苦しくなる。



麗はあたしの親友だから、好きな人とうまくいってほしいと思う。

でも同時に、信一くんの恋も叶ってほしいと思う。



「恋愛って、そういうもんなんですよ」



すっかり閉口してしまったあたしに、信一くんは静かに笑いながらそう言った。