「マジで……、どんだけ自己チューなんですか」
ソファに腰を下ろした信一くんは、あたしを見るなり呆れたように言った。
「……実は、武人と気まずい雰囲気になってさ」
「アニキと? で、別れるんですか?」
深刻なあたしとは対照的に、信一くんは目をキラキラさせながら、テーブルに身を乗り出して聞いてくる。
「……なんでそうなるわけよっ!?」
頭にきて、あたしは信一くんの顎をがっつりと掴み上げ、左右に勢いよく振り回す。
「ひっ、ふっ、ふみまへ……」
“すみません”と謝ったところで、あたしは信一くんの顎から手を放した。


