恋*クル〜2nd〜



市橋くんが言うように。

あたしも、挑発された武人が何か言い返すだろうと思っていた。



――なのに……

ただ怒りを表すだけで、固く閉ざされた唇からは何の言葉も出てこなかった。



どうして?

いつもの調子で言い返せばいいのに……。

なんで、黙っているわけ?

なんで……、あたしを振り切って行ってしまったの?



「今はそっとしておいた方がいいかもなー。……ってことでさ、これから昼メシ食いに行かね?」



反省心ゼロの市橋くんは、にこりと笑ってあたしを誘う。



「……誰が行くかっ! 帰るっ!」



その余裕さが癇に障って、あたしは市橋くんに二度目の蹴りを入れると、講義室を足早に出て行った。