「大っっ嫌い! 分かりきってるでしょ?」 この至近距離といい、態勢といい。 すごく緊張して胸がドキドキと鳴り止まないのに、あたしの口はいつもの口調で切り返す。 「……でも、食べろよ?」 「はぁっ?」 あたしが素っ頓狂な声を上げると、武人は不敵な笑みを浮かべたまま両手を壁から放した。 「なに? 嫌がらせ? なんでっ?」 さくらでんぶの意味が理解できず問い詰めるあたしに、武人は楽しそうに言った。 「……人の話も聞かずに、ボケーっとしているからだよ」