動揺している武人。 あたしは冷静な態度で、手元にあった冊子で莉子の頭を軽く小突く。 「いたぁーっ!」 「莉子、そんなキスは大人になってから!」 ぷうっと頬を膨らませる莉子に、今度は武人が言う。 「そうそう。パパを超えるいい男とするんだぞー?」 「……パパ以上のヘタレってこと?」 「……いや、そうじゃなくて」 子煩悩な武人は、莉子にとって“ヘタレ”のようだ。 でも実際は、違うんだよ。 結婚して、莉子が生まれてからも、あたしは時折見るクールな武人にドキドキしてしまう。