中学生のあたしたちの恋は、すごく純粋だったと思う。 ただ手を繋ぐだけで、ドキドキした。 誰かに見られると、咄嗟に手を離したり。 “ねぇ、寄り道するなんて珍しいね” あれは確か、中学二年の二月。 雪がちらちらと舞っていた、とても寒い日だった。 毎日一緒に歩いていた帰り道。 その日はめずらしく、公園に寄ろう、と市橋くんが言って来た。 かじかんだ手で握りしめていた、温かい缶コーヒー。 ベンチに座ったまま、市橋くんは何も喋らず、手の中にある缶コーヒーをじっと見つめていた。 “市橋くん……?”