――市橋亮太……。
彼との出会いは、中学一年のときだった。
同じクラスで、勉強ができて、スポーツ万能で。
そのうえ、ついこないだまでランドセルを背負っていた小学生とは思えないほど大人びた顔立ちをしていて。
かっこいい市橋くんは、女子からすごく人気があって。
でも本人はそのことには全く気づいていなくて。
しかも、“色恋沙汰よりも男友達!”って感じだったから、同性にも慕われていた。
あたしはずっと市橋くんを好きで。
二年の修学旅行の時に、思い切って告白したんだ。
たぶん、修学旅行っていう“何かありそうな”雰囲気が、彼をその気にさせたんだと思う。
“うん、いいよ”
付き合ってください、と言ったあたしに、市橋くんは躊躇することなくそう言ってくれたんだ。


