「――江田……」 吸い込まれそうなほどに澄んだ、色素の薄い瞳。 真っ直ぐに見つめられ、あたしはドキドキしてしまって視線をそらす。 広い広い、大講義室。 真剣な顔で講義する教授。 無駄話ひとつせず、黒板に書かれた内容をノートに書き写す学生。 そんななかで、あたしと市橋くんの間にだけ変な空気が流れている。 「俺は絶対に、おまえを落としてみせるからな」 「……やっ……、あの……っ」 あまりにも真剣な表情で言うから……。 あたしは、さっきみたいにきっぱりと拒否することができなかった。