恋*クル〜2nd〜



「アニキ。俺がなんで、この木を贈ったか分かります?」



窓辺に置かれた、モンキーポッド。信一からの引っ越し祝い。

信一は、瑞々しいその緑の葉を優しく撫でながら言う。



「日曜日の夜にCMやってるでしょ? バカでかい、傘みたいな形をした木が出てくるCM」

「……あぁ。知ってる」



誰でも一度は聞いたことのある曲が流れるCM。

人間百人が軽く木陰に入るくらいの、大きな傘の形をした大木。



「今はこんなに小さいけど、大切に育てたら、この木はあれくらい大きくなるんです。俺はこの木を、CMの大きさになるくらい、アニキと梓さんに育ててほしいんです」

「……それって何年かかるんだよ」



笑う俺に、信一は落ち着いた表情で言ったんだ。



「何年でしょうね。でも、それくらい、アニキと梓さんには一緒にいてほしいんです」