「ちょっ……、市橋くんっ!?」 やっぱり、予想どおりだ。 武人にバレたことを話せば、市橋くんは必ず間に割って入ってくる。 あたしの制御なんて無視して、市橋くんは武人の肩をぐいと掴んだ。 「ちょっと話あるんだけど」 「は?」 武人は、明らかに不機嫌そうだ。 市橋くんを睨むようにして見上げたあと、武人の視線が僅かにずれて、あたしと目が合う。 久しぶりに視線を交わす。 ドキッとするけれど、あたしは武人に何も言葉をかけることができない。