「……まぁ、そんなところ」 浮気がバレたんだよ。 はっきり言おうかとも思ったけれど。 市橋くんにだけ責任を押し付けているみたいで、あたしは事実を言えなかった。 でも、市橋くんはしっかりと見抜いていたんだ。 「俺とのことがバレたんだろ?」 「………」 少し間を置いて、あたしは小さく頷く。 「……ったく」 呆れたように呟いた市橋くんは、カバンを机の上に置くと、武人の席へと向かった。