「いろいろ考えたんですよ、俺なりに……ね?」
にこりと笑う信一くんの表情に、憂いはない。
「大丈夫。麗さんのことは、俺に任せてください」
「……信一くん?」
「だから、梓さんもアニキと頑張ってくださいよ? 何かあったら、俺、すっ飛んで行きますんで」
年下のくせに、頼りがいのあることをさらりと言う信一くんに胸がじんと熱くなる。
「……信一くん」
しかし。
感動しているあたしに、信一くんはニッと笑って言葉を付け足した。
「アニキのところに、ですよ?」
そして、あたしがテーブルの下で、信一くんのスネに思い切り蹴りを入れたのは言うまでもない。


