「て言うか梓さん、人のことに首突っ込んでいる場合じゃないでしょ？」
話を摩り替えようとする信一くんは、ケンカ腰になっている。
あたしはいつものように、信一くんの顎を下から掴み挙げて言う。
「……あんたこそ、あたしと武人のことに首突っ込んでいる場合じゃないでしょ？」
言ったあと、手を離すと、信一くんは少し安心したような顔をした。
「やっぱり梓さんは、そうでないと」
「は？」
「女らしい顔して沈んでいる梓さんて、気持ち悪いから」
「はあっ？」
……ちょい待て。
いま、あたしの“女”を全否定しなかった？
