恋*クル〜2nd〜



もうこれ以上、嘘をつくことなんかできない。

真実に繋がるものを武人が見てしまった以上、弁解の余地すらない。



「……ごめん」



小さく言葉を発したあたしに、武人は何も言わない。

表情さえも淡々としていて、怒りもショックも悲しみも、何も感じられなかった。



「――おまえ、最低だな」



初めて聞いた、あたしを非難する武人の言葉。

罵倒するわけでもなく、武人は落ち着いてさらりと言ってのける。


身動きすらできないあたしを洗面所に残して、武人はその場を立ち去って行った。