なんの凹凸もない平坦な痕は、痛みもかゆみもなくて、すぐにそれだと分かる。 「それ、誰につけられた?」 突然、声が聞こえてきて、あたしはビクリと震え上がる。 顔を歪ませた武人が洗面所の入り口に立っていて、刺すような視線を向けて答えを待っていた。 “絶対にバレたらダメだよ” “金森には言うなよ” 麗と市橋くんの忠告……。 「……どこかで……打った……みたい」 だけど。 あたしは嘘をつくのがとてもヘタで。 震える声で言ったあたしの嘘を、武人は一蹴した。