「ねぇ、武人……」 「うん?」 グラスを洗い終わるのを後ろで待っている武人に、あたしは息を大きく吸い込んでから切り出す。 「……もしも武人が疲れていなかったら……」 グラスをすすぐ手が震えている。 このままの状態で話をしていたら、絶対にグラスを落としてしまう。 あたしはグラスを流し台に置いて、水を止める。 そしてそのままの姿勢で、続きを言った。 「今から……どうかな……」 あたしの顔、きっと真っ赤になっている。 こんな顔で、武人の方なんか見れないよ――……