いつもの調子で断ろうとしたけれど、言葉が出てこない。 いつまでも拒み続けている場合じゃない。 市橋くんとは……“何もなかった”んだから。 武人は、あたしの大好きな彼氏なんだから。 「――うん、いいよ」 自分から誘っておきながら、武人はあたしの返事を聞いて目を丸くして唖然としていた。 「……なによ」 「いやっ……、まさか梓ちゃんがOKするとは……っ」 「じゃあ泊まらない」 「いやいやいや、ごめんっ。泊まって!」 クールな態度で誘ってきた武人は、ヘタレ口調であたしを引き止めた。