――なんて、バカなことをしちゃったんだろう…… 優しい笑みを浮かべながら、あたしを受け入れようとしている武人を前に、涙がじわりと滲む。 ダメ……、泣いちゃいそう……。 涙を見られたくなくて、あたしは武人の胸に飛び込んでいく。 武人は片方の腕であたしをギュッと抱きしめ、もう片方の手で頭をポンポンと優しく撫でる。 武人の胸に押し当てられたあたしの耳に、ドクンドクンと心臓の鼓動が打ち寄せてきた。 ……武人の、心臓の音。 それは正常な動きじゃなくて、驚くくらいに速かった。