「……なに……言ってんのよっ」 身体の震えが伝わらないように、あたしは武人を思い切り突き飛ばす。 「市橋くんとあたしが、そんな関係になるわけないでしょう?」 武人に、知られたくない。 バレたら、あたしは間違いなく武人を失ってしまう。 ムキになって言うあたしを、武人はしばらく黙って見ていた。 そして、ベッドに身体を仰向けに落とした武人は、両手を大きく開く。 「おいで、梓」 にこり、と静かに笑いながら、あたしがその腕の中に飛び込むのを待っている。