『夜、そっちに行ってもいい?』 「えっ……」 一瞬、戸惑う。 市橋くんとこんな関係になってしまったのに。 あたしは武人を真っ直ぐに、目を逸らさずに見ることができるのかな。 でも…… ここで断ってしまったら、ますます疑われてしまう。 「うん、いいよ」 『じゃあさ、六時くらいに行くから』 「……うん」 武人との会話を終えて、電話を切ったあと。 涙が止め処なくあふれ出す。