一夜の過ち――…… 市橋くんが帰ったあと、あたしはしばらくベッドの上でぼんやりとしていた。 そんなあたしを我に返らせたのは、武人からの電話。 「……もしもし」 『あ、梓ちゃん? 起きたー?』 ビクビクしながら電話に出たあたしに、武人は明るい声で言う。 『もしかして二日酔い?』 「……う、うん」 『今日のフランス語、代返しといたから』 あ――……っ……。 武人の言葉に、心臓がドクンと不気味な音を立てる。