「なに? どうしたのー?」


そのただならぬ様子に、のんびり屋の若菜がのんびりとした声をかけると、雅美はゴクリと喉をならして机の上に放り出した一枚のスナップ写真を指をさした。


その指は、ぷるぷると小刻みに震えている。


「そ、その写真見て、何だか変だよ!?」


怯えたように裏返った言葉尻も、微かだが震えていた。


「どれ? この滝の前で撮った写真?」


コクコクと、雅美がぎこちない動作で大きく頷く。


私は、その問題の写真を持ち上げて、若菜と二人、まじまじと覗き込んだ。


この日は薄曇りの、あまりはっきりしない天候だった。


有名な観光スポットの大きな滝をバックに三人が思い思いのポーズを決めながら、頭を寄せて笑顔全開で写っている。


そこには、なんの暗さも感じられない。ごく普通のスナップ写真だ。


「えーどこ? 何も写ってないよ?」


ワケが分からず、私は眉をひそめながら写真に視線を這わせる。


でも、やはり何も変わった所は見付けられない。


「雅美ったら、私たちを驚かそうとしたんでしょ?」